ティボーの立腰
ジャック・ティボーというフランスのヴァイオリニスト。写真しか残っていないのだろうな、と思っていたティボーのこの演奏動画をはじめてみたときは、本当に感動しました。
優雅な演奏スタイルで、歌い方も音質も大好きです。
しかし、ヴァイオリンの教科書的にみると、先生たちは指導の見本にはしないかも知れません。立ち方といい、深く棹を入れた左手のカタチといい、高く上がった肘といい、変則のフォームだと。ティボーの独自のスタイルだと。
ところが・・・、身体の先生に診ていただいたところ、実にいいとべた褒め。
まず、立腰(りつよう)(骨盤が立つこと)がなされ、肩甲骨がうしろに寄せられ(?うまく表現できませんが)、上半身がラクな状態で、肘は上げているのでなく「上がって」おり、腕がラクに脱力されているので、特に左手の親指の力が抜けている、などなど。
フォームを真似して肘を上げてもまったく駄目なんですよね。ムリに肘を上げておいたりしたら、辛くてしょうがないでしょう、本当の意味ではマネはなかなかできないということがわかりました。正しい立ち方ができないといけないのです。ティボーのこの演奏姿勢が、模範のカタチとならないのは、そもそも身体がその形にできないからなんですね。だからオリジナルといってるだけですませてしまうでしょう。
とはいっても、あらためて見ると、右手もまったく力が入っている感じがしませんし、「小手先」で操作していません。胴体からブランブランに腕ぶら下がっているようですね。