楽器は生きもの
先日、Piazzolla(ピアソラ)というアルゼンチンの作曲家のライブを、タンゴの上手なメンバーとカルテットで合わせてもらい演奏しました。
構成は、ピアノ・ベース・バンドネオン・バイオリンです。来場していただいた方には喜んでいただけたようでしたが、なんせ自分のバイオリンには悪いことをしたな、という複雑な思いでした。
タンゴの演奏では、バイオリンは弦を響かせるよりは、ちょっと錆(さ)びた音でギコギコやったり叩いたりした方が味が出るのですが、そのせいか楽器は翌日、まったく鳴らなくなってしまいました。
調整に出したところ魂柱が曲がっているとのことでしたが、なんだか全体的に楽器を痛めつけた感覚があります。タンゴが上手なバイオリン弾きのバイオリンは表面が傷だらけであったこともありました。ということで、こういうジャンルの演奏は、安楽器を買わないといけないな、と思っています。
自分の持ち味はやっぱり弦を響かせるところにあるので、出したい音がなんなのかがよくわかる機会になりました。
また私見ですが、アルゼンチンで発展したタンゴは音楽として本当に素敵ですが、バイオリンに限れば、鳴らし方を知らない人が、鳴らないなりに奏法を独自に作ってしまった感があります。バイオリンは安物の楽器でも、もっともっと美しく響かすことができる楽器だと私は思います。
音楽もジャンルによって楽器の個性の出し方がずいぶん違うなと思いました。
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