クライスラーと曾祖母

クライスラーと曾祖母

 KreilserTokyo

こんな嬉しいことがあっていいものかどうか。偶然というか、不思議な巡り合わせ、というか、なんとも表現できません。

私が心酔しているヴァイオリニスト兼作曲家に、フリッツ・クライスラーという人物がいます。

彼の残した録音をすべて集め、その表現や弾き方を何から何まで吸収したい、あんな温かい演奏がしたい、と願ってやまない憧れのクライスラー。そのクライスラーが大正12年に来日していることは知っていたのですが…そのときに会っている人がこんなに近くにいたとは。

私の曽祖母・松本愛子は、明治の西洋文化をまだ日本がやっと取り入れはじめた頃に、ヴァイオリンを習っていました。お雇い外国人のオーストリア人ディートリッヒに習っていたそうです。

そしてずっとあとになってからですが、来日したクライスラーの歓迎会にも出席し、その写真が実家に残っていたのです!なんということでしょうか。(それが上記の写真↑)

左端に曽祖母、そして真ん中のテーブルにクライスラーが奥さんと座っています。写真の裏には「大正12年クライスラー歓迎会、東京会館」と記されていました。

クライスラーの演奏会も聴いたであろう曾祖母があの場にいて…、隣のテーブルにクライスラーがすわり…、どんな会だったのでしょうか。曽祖母はクライスラーともしかしたら会話をしたのかも。

そんなことを想像していると、なんだかわかりませんが、涙が止まらなくなりました。90年前の過去には違いありませんが、私には新しい出会いのようで、曾祖母が私の代わりにクライスラーに会ってくれていたように感じました。遠い過去から自分への大きなメッセージでした。クライスラーに一歩でも近づけるよう、精進しなさいと、と曾祖母が言ってくれているように感じます。